ゴルフではよく、「保険をかける」という言葉を使います。
使い方としては、
試合の前に、「いや~忙しくて全然練習してないからさ~」とか、
「今年全然ラウンドしてないからさ~」とか。
スタートする前にこれを言っておく事で、多少スコアが悪くてもちょっと言い訳が
つくと言うことです。仲の良い人には、これをやると、「お?保険かけてるね~」などと
冷やかされることになるので、とても恥ずかしいです。そもそもこの保険で救われるのは
自分の小さな小さなプライドだけです。
これと良く似た場面を思い出しました。
将来お店をやりたいんだという人がよく言うのですが、
「小さくてもいいから、お店をやりたいんだ」
「1人でできる範囲で、お店をやりたいんだ」
こういう人、本当によくいます。僕は、この言葉には「保険」が含まれていると思います。
小さくていい?小さければ、失敗しないと思っている?
資金も少なく済むから?
1人でやれる範囲でいい?多少お客さんが少なくても、自分でやれる範囲でしか
やらないから?お客さんを待たせたり、急に体調が悪くなったらどうしますか?
逆に忙しくなったらどうするの?それでも1人でやるんですか?
小さくても、大きくても、続ける事は同じように大変ですよ。と言いたくなる。
「小さくてもいいからお店をやりたい」と「小さいお店がやりたい」では、
同じような言葉でも、情熱の入りようがまったく違うように思います。
もしかしたら出来上がるお店は同じものかもしれないけど、きっと
お店の成長は、後者の方が早いし、長く続くのではないかと思います。
本題です。
この度、
『 自分でカフェをつくりたい人の本 』にお店を掲載をさせていただきました。
書籍では、表紙に08COFFEEの写真を使用していただきました。これは私達の力ではなく
設計を担当してくださった佐竹勝郎さん、施工の土日工業さんのおかげです。改めて、感謝申し上げます。
取材時、「08COFFEEは、カフェじゃないのでこの本の企画に合うかわかりません」と言いました。
記者の方はえ?という表情でしたが、これはとても大切な事なので、必ず書いて下さいとお願い
しました。本の中では、お店を始めるにあたっての資金面なども赤裸々に公表しています。
他の店舗の方も公表していますが、大体カフェをやるには、500万~1000万位のお金が
かかるようです。
それでも、「 自分でカフェをつくりたい 」ですか?
飲食店は開業も多いが廃業も多く、“多産多死の業態”です。カフェに関しては裏づけとなる調査データはありませんが
業界では「3年持つ店は半数」ともいわれます。
「新規開業パネル調査」(2011~2015年。日本政策金融公庫調べ)によると、飲食店・宿泊業の廃業率は18.9%となっており、
全業種平均(10.2%)に比べて倍近い。同調査は、ホテルや旅館など宿泊業(調査時期的に“民泊”例は少ない)を含む数字で、
実質は数の多い飲食業を反映した数字といえます。
3年後に生き残る半数に、あなたは入れる自信はありますか?
それでも「自分でカフェをつくりたい」ですか?
書籍に載せていただき、表紙にも使っていただいたのにも係わらず、こんなに厳しい事を書いているのは、
この本のように簡単にはいかないよ。と言いたいからです。
事実、この本は2巻目で、以前発行されてから、今回の号が発売される間に、前回の本に掲載されている
お店の半分が何らかの理由で廃業されているそうです。(本当にあった怖い話です)
それでも「 自分でカフェをつくりたい 」ですか?(3回目)
僕らも3年後にお店があるかどうかわからない中、日々お店をやっているんです。
でも僕は、保険をかけない。今ある力で戦うと決めています。上手くはできないかも
しれないけど、逃げ道を作らないと決めています。覚悟さえ決まれば、あとは、やるだけです。
これを読んでくださっている方の中にもし、自分でカフェをつくりたいと思っている方がいれば、
ぼくは応援したい。ただし、保険はかけない人に限る。
共に頑張りましょう。